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2012.05.01放送 『マイスターが語る世界遺産~極地の世界遺産~ Vol.1』

ヨーロッパ ヨーロッパ   タグ:ロシア連邦 
(2012-05-01 放送)

『マイスターが語る世界遺産 ~極地の世界遺産~』

5月1日(火)
『バイカル湖』:ロシア連邦/自然遺産/(ⅶ),(ⅷ),(ⅸ),(ⅹ)/1996年登録

5月は、今までスポットに当たることのなかった「極地に近い世界遺産」を特集してご紹介します。

第1回目は、「世界で一番古い湖」、「世界で一番深い湖」、「世界で一番透明度がある湖」、
「世界で一番水量のある湖」と「世界で一番……な湖」とやたら「世界一」の冠がつく
『バイカル湖』の魅力と不思議に迫ってみたいと思います。

バイカル湖は、ユーラシア大陸中央部、ちょうどモンゴルの真北の北緯50度と60度の間にある、
三日月の形をした美しい湖です。
シベリア中央部に位置し、タイガという針葉樹林帯に囲まれていて、「シベリアの真珠」とも呼ばれています。

まず「世界で一番古い湖」については、通常、湖は川からの土砂によって
数万年くらいで埋まってしまう運命にありますが、
バイカル湖が形成されたのは、はるか2,500万年前のこと。
地殻変動でユーラシア大陸プレートとアムールプレートがぶつかり、
もともと海溝(海の底)であったものが隆起して、その陥没部に水がたまった結果、誕生しました。
それが「世界で一番深い湖」である由縁でもあり、その深さゆえに埋没せずに今なお湖として残り続けているのです。

その最大水深は1,642mにも及びます。
これを、日本で一番深い湖である秋田県の田沢湖と比較してみると、田沢湖の水深が423mなので、その約4倍。
東京スカイツリーなら2つ半、通天閣なら16本分となります。
平均水深も744mと言われていますので、その深さには驚かされます。

また、深さだけでなく、『世界で一番透明度がある湖』とも言われています。
バイカル湖は、今でも湖底では地殻変動が絶えず、その割れ目から噴出する鉱物が水の浄化作用を促すために、
高い透明度が保たれていて、青く澄んだ湖水の透明度はなんと約40mまで続くそうです。
(ちなみにバイカル湖の次に透明度のある湖は、北海道の摩周湖です)

次にバイカル湖の大きさを説明しますと、南北の距離が約650km、最大幅79kmで、
面積は琵琶湖の約46倍、3万1,500k㎡にも及びます。
これほど巨大かつ深いバイカル湖に大小約330の川が流れ込む一方、
出口は唯一、アンガラ川のみのため、湖には膨大な水量が貯まっていきます。
「世界で一番水量のある湖」とも呼ばれるバイカル湖の貯水量(淡水)は、
なんと世界全体の20%ほどを占めているそうです。

さらに、原住民のヤクート語で「魚の豊富な湖」の意味を持つバイカル湖は、
深部でも酸素の含有量が80%あり、魚にとっても快適な生息地となっています。
1,500種以上もの水生生物のうち、80%は湖独自の固有種です。

特にその顕著な例が、バイカルアザラシです。
アザラシは通常、海に生息していますが、なぜ淡水であるバイカル湖に棲んでいるのでしょうか?
有力説のひとつとして、かつて海だったバイカル湖に棲んでいたアザラシが、
その後の地殻変動によって海から切り離され、独立形成したバイカル湖の水に適応していったとも言われていますし、
バイカル湖近くまで北極海が広がっていることから、氷河時代に北極海が後退し、
バイカル湖付近に生息していたアザラシが孤立したために、淡水に適応していったとも言われています。
いずれにしても、こうした特異な環境が豊かな生物相を育み、
バイカル湖が「ロシアのガラパゴス」とも呼ばれる由縁なのです。

以上のことから、バイカル湖は美しい自然に加え、固有種のバイカルアザラシなど世界屈指の生物多様性を誇り、
絶滅危惧種が見られるほか、古生代以降の地層が見られる点でも重要な価値があるとされ、
自然遺産の4つの登録基準全てを満たし、1996年に世界遺産として登録されました。

地域
物件種別
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