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■ 研究員ブログ⑮ ■ 止まらないプレア・ビヒア寺院

『プレア・ビヒア寺院』付近の国境を巡る、
タイとカンボジアの紛争が再び新聞を賑わせています。

5日に停戦合意したのに、
翌日には既にそれが破棄されて、死傷者を出す戦闘が再開している……。
プレア・ビヒア寺院の壁が破損したニュース映像も見ましたが、
いい加減にしてもらいたいものです。

この国境問題は、タイとカンボジアの両国間の問題だけでなく、
タイ国内の政争の道具ともなっていて、
カンボジアが仲裁を求めている国連やASEANでも、
すぐに解決するのは難しい状況になっています。

タイ国内の、タクシン派と反タクシン派の対立だけでなく、
反タクシン派のアピシット・ウェートチャーチーワ現首相と、
そのアピシット首相の対カンボジア政策の弱腰を批判する、
同じく反タクシン派の民主市民連合(PAD)。

PAD はタイ国民の反カンボジア感情を煽って支持拡大を目指し、
アピシット首相は外交関係の悪化を防ぎたいけど、
国民の反カンボジア感情からくる批判も避けたいという二律背反な思惑に悩み、
タクシン派は政権再奪取を狙って反政府運動をする。

カンボジアも、タイとの国境未確定地域に寺院を建てて
カンボジア国旗をこれ見よがしに掲げるなど、
1962年に国際司法裁判所が下した
プレア・ビヒア寺院をカンボジア領とする判決を大上段に掲げ、
タイ側の意見を傾聴しているようには、あまり感じられません。

昨年の研究員ブログ「世界遺産は本当に「平和のとりで」か!?」にも書きましたが、
タイ国領内の参道を通らずに、
カンボジアの世界遺産『プレア・ビヒア寺院』に行くのは困難です。

カンボジアもタイも、世界遺産登録の意味を、
もう一度、考え直してみてもらいたいものです。
みんなでユネスコ憲章を朗読するとかさ。