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◆世界遺産クラブ通信◆ 活動レポート-7

イベントレポート イベントレポート   タグ:モロッコ王国 
(2014-12-18更新)

【モロッコの世界遺産を訪ねて】

お久しぶりです、世界遺産クラブの中川です。
2月13日~23日、モロッコを訪問してきました。
2008年までにユネスコで登録されているモロッコの世界遺産8件のうち、今回の訪問で見学した5件を中心に紹介いたします。

●メクネスの旧市街-1996年登録
17世紀後半にアラウィー朝の首都として栄えたメクネス。第2代スルタン、ムーレイ・イスマーイールが、ヴェルサイユ宮殿に対抗して建設したと伝えられるだけあり、モロッコでも1、2を争うほどの美しい建造物が建ち並ぶ。(写真左: マンスール門、右:イスマイール廟)
 

●ヴォルビリスの考古遺跡-1997年登録
現存するモロッコ最大の古代ローマ遺跡。紀元前40年頃にローマ帝国の属領となり、その当時に建てられた凱旋門や神殿、公共広場、浴場、邸宅群などが野原と畑の中に突如として出現し、建物の上をコウノトリが何羽も飛び交っている様子は忘れ難い。(写真2点)
 

●フェズの旧市街-1981年登録
9世紀初め、フェズはモロッコ最初のイスラム王朝イドリース朝の都として造営され、今なお市民の生活の場として生き続けている。城壁の内側には、無数の細い路地が網の目のように広がり、壮麗なモスクや神学校、スークと呼ばれる商店街や小さな民家がひしめく。初めての旅行者がガイドなしで中に入れば迷子になること間違いなし!といった感じだが、同時にモロッコの代表的な景観であるとも言える。(写真左:旧市街全景、右:スーク)
 

●要塞村アイット・ベン・ハドゥ-1987年登録
王朝の交代や勢力争いから逃れて移住した先住民が形成した集落で、日干し煉瓦で造られた家々が、丘の斜面と一体化したかのように並ぶ。特別な史実があるわけでもないが、その現実離れした風貌はとにかく壮観で、「アラビアのローレンス」をはじめ、数々の映画のロケ地としても有名。増水した川をロバに乗って渡ったことも印象深い。(写真:アイット・ベン・ハドゥの要塞村)

●マラケシュの旧市街-1985年登
マラケシュはフェズに次いで古い町で、11世紀にベルベル人による最初のイスラム国家ムラービト朝がここを都と定めたことで発展した。モロッコの歴史・遺構・自然・人間など、全てが見事に集約されており、いわばモロッコの縮図でもある。その中心はジャマーア・アル・フナー広場で、大道芸人や音楽家、行商人たちが集まって得意の芸を披露したり、露店を開いたりして賑わっている。普段は夜の方が活気があるそうだが、我々が訪れた日はあいにく夜が雨模様だったため、閑散としていて残念。(写真:ジャマーア・アル・フナー広場)

世界遺産以外にも、モロッコには興味深い見所が多く、砂漠に雪山、渓谷など、自然の美しさも感動的だ。サハラ砂漠の一部であるメルズーカ砂丘へは朝5時にホテルを出発して4WDで1時間近く走り、そのあと20分ほどラクダに乗って、砂丘の上から朝日が昇ぼるのを鑑賞した。月明かりの中、ラクダに揺られながら、学生時代にクラブのコンパの最後に皆で歌った「月の砂漠」を口ずさみながら進む砂漠は、まさに感無量。モロッコの中央を走るアトラス山脈を越えるときに見た雪山、トドラ渓谷、途中休憩したイフレン(モロッコのスイスと言われ、フランス植民地時代に保養地として開発された)など、変化に富んだ自然景観は、実質9日間に及ぶ旅を全く飽きさせることがなかった。(写真右:メルズーカ砂丘、中央:アトラス山脈、右:トドラ渓谷)
  

中川勝博