● マイスターのささやき:Hello from LONDON No.2
皆様、こんにちは。マイスターの鈴木真紀です。
ロンドンへ引越しをして一ヶ月余り。ようやくインターネットも通じるようになり、新生活も落ち着いて来ました。先日ベルギーへ旅行しましたので、今日はロンドンからのレポートとは言っても、ベルギーに関して書きたいと思います。
ヨーロッパ内は、移動が容易で旅行がしやすいのがいいところです。島国イギリスとて、例外ではありません。今回、車でベルギーへ行って来ました。英仏海峡にはユーロトンネルという海底トンネルがあり、今ではイギリスもヨーロッパ大陸と陸続きのようなものです。トンネルは列車用のみですので、トンネルの入り口(イギリス側はフォークストン)で車専用の列車に乗り込み、トンネル内は車の中で約30 分過ごします。列車がトンネルを出たら、(フランス側はカレー)車を列車から出して、大陸でのドライブ開始です。簡単でしょう?列車内を写した写真をご覧下さい。二階建て列車なので、沢山の車が積めるのですよ。なんと、フランスに到着した時も、ベルギーとの国境を越えた時もパスポート検査はなしです。イギリスへ戻る時には、通常の検査がありましたが…。カレーから目指すブリュージュへは、約1 時間15 分ほどで到着できます。イギリスは、日本と同じで右ハンドル左側通行ですが、大陸側は反対なので、そこに気を付けなければなりません。
ブリュージュは、大好きな町で、すでに何度も訪れたことがあります。今回は、5 月に講演でお世話になった、ロングステイ財団の古賀さんご夫妻が、お仕事でマルタ島に数週間滞在された後にヨーロッパをご旅行なさるというので、ベルギーで合流することになりました。
ブリュージュは、小さな町ながら、世界遺産の宝庫です。「ブリュージュの歴史地区」「ベルギーとフランスの鐘楼群」(二つの国にまたがるトランスバウンダリー・サイトの例)、「フランドル地方のベギン会の建物」(連続性のある遺産ということで、シリアル・ノミネーション・サイトの例)の3件が登録されています。後の2件は、「ブリュージュの歴史地区」の範囲内にも建物があるので、世界遺産の中に別の世界遺産が存在しているような形です。中世において、羊毛貿易で繁栄し、ハンザ都市となって一大商業都市となったブリュージュでしたが、後に海までの水路に砂が堆積した為に船の航行が不能になり、徐々に衰退していきました。今も、「北のヴェニス」とも形容される運河がはりめぐらされています。どこへカメラを向けても絵になります。本当に可愛い中世の町並みが残っているのですよ。
「ブリュージュの歴史地区」の中で、私が必ず訪れる場所は、聖母教会です。この中には、イタリア・ルネサンスの巨匠ミケランジェロ作の聖母子像があります。写真をご覧下さい。
慈愛に満ちた聖母マリアがまだ赤ん坊であるキリストを膝に抱いている像ですが、その表情には、いずれ十字架刑に処せられるキリストの未来を知っているかのような憂いも感じられます。ミケランジェロの彫刻で、イタリア国外に存在している物は非常に少なく、これがブリュージュにあるということだけでも、いかにこの町が繁栄していたかを伺い知ることができます。この像を見る度、私は母の私への愛を思いおこし、私自身、二人の息子の母親ですので、自覚を新たにします。日本語では「聖母」と呼ぶマリアを、英語ではOur Lady, フランス語ではNotre Dame といいます。「私達のご夫人」という意味ですね。そう、パリの有名なノートル・ダム大聖堂も、同じくマリア様に捧げられた聖堂ということなのです。ブリュージュでは、この他、運河のボートめぐりをしたり、この町にあるベギン会の建物も見学しました。時々鐘楼からカリヨンの音も聞こえて来ます。古賀さんご夫妻も、初めてのブリュージュを大変楽しんでおられました。
ベルギーは、美味しい食べ物が沢山楽しめる国です。お土産ナンバーワンはチョコレートでしょう。飲むチョコレートというのをご存知ですか?いわゆるココアのことです。歩き疲れてちょっと一息、入ったお店で飲んだチョコレートの写真です。ホットミルクが巨大なカップに入ってきて、そこに用意されたチョコレートを投入、溶けたらかき混ぜて出来上がりです!更に、ベルギーといえば、ワッフルも有名なので、一緒に注文しました。甘いもの好きにはたまりません!(笑)
この他、ベルギー料理で有名な物は、ムール貝のワイン蒸しや、シチュー、エビのコロッケ風などがあります。付け合わせのフライドポテトがまた、絶品!古賀さんご夫妻も我々夫婦も食べることが大好き!毎日、美味しい食事に舌つづみを打ちました。この旅行では、アントワープへも行って来ましたので、次回は、アントワープでの見学について、お伝えしたいと思います。もちろん、世界遺産の「プランタン=モトゥスの家屋・工房・博物館とその関連施設」も見学して来ました。お楽しみに!
世界遺産検定マイスター 鈴木真紀