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■ 研究員ブログ75 ■ 明治日本の産業革命遺産、登録はどうなる!?

生憎の雨続きで、気分がすっきりとしないですね。
これが梅雨だといってしまえば、そうなのですが。

そんな気分がすっきりしないところに、
また、もやもやっとするニュースがドイツから届きました。

世界遺産委員会での「明治日本の産業革命遺産」の登録審議が、
一日遅れるというものです。

今回の「明治日本の産業革命遺産」に関する一連の騒動には
本当にがっかりしてしまいます。

世界遺産委員会は、国家間の政治論争をする場所ではありません。

今回の件は、世界の国々を巻き込んで行う政治論争ではなく、
両国間で話し合って解決すべき問題です。
文化を議論する場に、ここまで強く国家間の政治を持ち込んだ
韓国のやり方には疑問があります。

一方で、日本の側に全く問題がなかったかといえば、
そうとも言えないと思います。

日本は、「1850年代から1910年までの遺産だ」という説明に
最初から固執しすぎました。

「世界遺産として認められた価値」というのは、
現在まで続く遺産のほんの一部分を切り取ったものに過ぎません。
世界遺産に認められている価値以外の文化的背景や歴史も、
当然、それぞれの遺産はもっているし、
それを無視した「世界遺産」なんてことはあり得ないのです。

強制徴用や苛酷な労働環境、労働争議、環境破壊などの
「影の部分」もある遺産だと、早い段階で説明に加えておけば、
韓国もここまで強引には来られなかったはずです。
他の国に対しても、日本はすでにその点を説明している、といえば、
韓国のロビー活動に対しても優位な立場に立つことができたでしょう。

国際問題では、どちらかが100%悪い、
もしくは、一方だけに落ち度があるなんてことはあり得ません。
また、国際政治は国と国の駆け引きですから、
各国の代表としても、国の意向を無視した譲歩はできません。
そして国の意向は、国内政治とも深く関わっていますので、
解決策を簡単に見つけ出すのは難しいのです。

国際政治に「正論」は通用しません。

今回の件で、確実に言えることは、
世界の国々に対して東アジアの信頼度を低下させた、
ということでしょう。

本会議までに両国間で話をつけておくべきでした。
他の委員国には迷惑なだけです。

今夜の審議がどうなるのか見守りたいと思います。