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◆世界遺産クラブ通信◆ 活動レポート-8

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(2014-12-18更新)

【初春の韓国に世界遺産を訪ねて】

はじめまして、世界遺産クラブの菅谷です。

3月15日~19日、韓国の世界遺産を巡ってきました。今回のハイライトは韓半島南東部の慶州。仏教を篤く信奉し、1000年の長きにわたり新羅の都として栄えた慶州には、貴重な古墳群、寺院や石仏などが数多く残っています。荘厳な遺跡群は自然の中に巧みに配され、「屋根のない博物館」と呼ばれるに相応しい調和を見せています。

石窟庵●石窟庵と仏国寺-1995年登録

釜山の空港から車で高速道路を走ること約1時間半。吐含山(トハムサン)頂上付近にある石窟庵(ソックラム)に到着した。とはいえ庵までは入口からさらに15分歩かなければならない。
石窟庵は751年、新羅王朝第35代・景徳王の宰相であった金大城が両親のために創建したと伝えられる。主室中央には仏教美術史上の至宝、高さ3.45mの如来坐像が安座し、そのやさしい眼差しは遥か東南方向を望む(写真撮影禁止)。十一面観音や金剛力士などのレリーフが施されている四方の壁も見事だ。

次に向かった仏国寺(プルグクサ)は535年の創建、200年後の最盛期には現在の10倍ものスケールを誇った大寺院。大雄殿、多宝塔、釈迦塔など8つの国宝を擁し、新羅仏教芸術の最高峰といわれる。石造部分以外は1592年、秀吉による文禄の役で焼失し、現在見られるのは修復されたものだが、紫霞門(チャハムン)、安養門(アニャムン)と二つの橋の均整のとれた素晴らしさは、当時の石造技術の高さを象徴しており、ぜひ一度は見学しておきたい世界遺産の一つである。

       仏国寺 大雄殿 釈迦塔

  ファン皇寺址●慶州の歴史地区-2000年登録

5つの地区から成る慶州歴史地区にも足を延ばす。そのうちの一つ、四面石仏(サミョンソクプル)市の北東にある小金剛山麓の大きな岩の東面には薬師如来、西面に阿弥陀三尊、南面に三尊仏、北面には2体の菩薩像が彫られている。

芬皇寺址(フンファンサジ)は634年、新羅第26代善徳女王によって創建され、かつては金堂や講堂も備えた大伽藍だったが、1593年焼失。現在はわずか3層(当時は9層)しか残っていないが、その扉に彫られた金剛力士像と台座四隅の獅子が印象的。目下周辺は道路工事中で、観光客誘致の計画中らしい。

チョムンデ大陵苑(テルンウォン)
40万㎡の敷地に王族の古墳群が散在する公園。12000点もの副葬品が発見されたこの地区最大の天馬塚をはじめ7基の新羅王陵、23基の円形古墳(誰の墳墓かは未判明)などが芝生豊かな公園として整備されている。内部が見学できるのは天馬塚で、古墳の構造がよくわかるが、展示はレプリカ(本物は国立慶州博物館)。

瞻星台(チョムソンデ)
新羅の王宮があった月城地区に、瞻星台を訪ねる。7世紀初めごろに建てられ、現存する東洋最古の天文台だという。362個の石造りで、底に設置された水鏡に星を映して天文観測を行い、農業や国事などに反映したと考えられている。

 

 

仁政殿●昌徳宮-1997年登録

春めいた陽気の慶州を後にし、韓国の新幹線KTXにて3時間ほど北上する。ここソウルでは二度目の訪問となる昌徳宮へ。のちに300年ほど正宮として使用されたこともあるこの朝鮮王朝の離宮(1405年創建)は、寒さ厳しいソウルの木漏れ日に映え、さすがの威容で当時の雰囲気を漂わせている。特に正面の敦化門(トンファムン)は、焼失を免れた韓国最古の木造二層式門として堂々たる佇まい。また、すぐれたモザイク模様の仁政殿(インジョンジョン)や、美しい天井と当時の宮廷生活が偲ばれる大造殿(テジュジョン)も必見である。

秘苑
また、北側には韓国造園技術の極致といわれる朝鮮時代の名園・後苑(秘苑・ピウォン)が広がる。樹木が茂る自然のままに池や渓流が配されており、紅葉の季節にも来てみたい場所である。

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今回の旅は世界遺産見学が中心でしたが、その素晴らしさを再認識できた充実した思い出に残る旅となりました。もちろん、韓国グルメもしっかり堪能してきました。

 
世界遺産アカデミー正会員
世界遺産クラブ会員
菅谷直