★WHA関西会員交流会 百舌鳥古墳群見学会
大変遅くなりましたが、WHA会員会報誌「WHA活動レポート」「暫定リスト記載をめざす百舌鳥古墳群見学会」のロングバージョンを掲載いたします。
4月19日(日)関西会員交流会~鍋島会員企画 百舌鳥古墳群見学会~が行われました。
当日は快晴の中、8名が参加しました。集合場所天王寺駅から百舌鳥駅に向かう車中から、大人の遠足のようで、引率の鍋島先生から、「今から百舌鳥駅まで車窓から見えている林(JR三国駅から百舌鳥駅まで一駅分)は全部仁徳天皇陵ですよ」と説明していただくと、参加者の気分がますます盛り上がりました。
まず観光案内所で、堺の歴史や古墳群についてのビデオ(貿易・鉄砲・刀の生産で栄えた歴史、現在は自転車の生産 が盛ん、環境都市でもあることの説明など)を見てから仁徳天皇陵正面へ。途中にも小さな古墳=陪塚 (大きな古墳の周辺に造られた小形の古墳。仁徳天皇量には10基以上の陪塚がある)がありました。
仁徳天皇陵正面ではボランティアガイドの方に説明をしていただきました。(以下その内容)
★ 古墳の前に鳥居があるのは天皇皇后、皇太子・皇太子妃の古墳まで。鳥居は明治以降に作られた。
★ 鳥居の大きさは男性の古墳は幅が12尺、女性は9尺と、女性のほうが小さい。 推古天皇陵も、天皇であるが女性なので鳥居の幅が9尺である。
★ 百舌鳥古墳群の仁徳天皇陵・履中天皇陵・反正天皇陵がいずれも当時の海岸線に平行な向きになっているのは、海から見たときに、古墳が大きく見え、国の政治力・技術力の威信を示すためであった。
★ 仁徳天皇陵の正式名称 百舌鳥耳原中陵(もずのみみはらのなかのみささぎ) の由来は、日本書紀によると、天皇陵工事中に作業中の人々の中に鹿がやってきて急に倒れた。その鹿の耳から百舌鳥が飛び出てきて、みると鹿の耳の中が喰い裂かれていた。工事の邪魔をする鹿を退治した百舌鳥の名をとり、百舌鳥耳原と名づけたということ。
★ 磐姫皇后の歌碑の説明など。
その後レストランもず野で昼食。 堺出身の利休も食べたといわれる堺名物の芥子餅もいただきました。柔らかくておいしいお菓子です。 食後のお茶は国登録有形文化財 堺市茶室「伸庵」の立礼席にて。 お茶菓子は利休の印鑑をかたどった珍しい落雁でした。
午後はまず堺市博物館へ。
こちらでもボランティアガイドの方から古墳からの出土品・土器や勾玉、埴輪に関する説明、堺市の古地図に関する説明をしていただきました。 円筒型埴輪を並べて結界とし、中に殉死者に代わり馬の埴輪をおいたものや、 巨大な火縄銃、ふとん太鼓(座布団の乗ったお神輿のようなもの)、世界三大陵墓の大きさを比較した模型(仁徳天皇陵 前方部の短い一辺の長さは16両編成の新幹線と同じ長さであることもわかる)などを鑑賞しました。
次に御陵周遊路を歩いて西側の仁徳天皇皇后磐之姫(いわのひめ)の万葉歌碑へ。
「在りつつも 君をば待たむ うち靡く 吾が黒髪に 霜の置くまでに」
ボランティアガイドの方のアドバイスに従い、石碑の裏面もしっかり見てきました。
そしていよいよ本日のハイライト、古墳後円部の内堀を展望することのできる、三国ケ丘の某ビルへ。 内堀と前方後円墳の後円からくびれにかけての部分を見ることができ、前方後円墳の形がよくわかります。堺市役所21F展望台からでも見ることができない内堀を見るという貴重な体験ができ、参加全員大喜びでした。
さらに方違(ほうちがい)神社へ。ここは、旅行や引越などの安全を願う神社。初詣でも賑わうとのこと。世界遺産好き=旅行好きな一同は旅の安全を祈願。ここからは反正(はんぜい)天皇陵の内堀も見ることができました。その後反正(はんぜい)天皇陵正面へ。鳥居が白木ではなく、新しいコンクリート製でした。
また、移動中建築中のマンションがありましたが、百舌鳥古墳群の世界遺産への登録申請を考慮して、建物の高さが抑えられているそうで、堺市の意気込みが感じられました。
夕方になりさすがに歩き疲れたところで堺市役所21F展望台の喫茶室にて休憩。百舌鳥古墳群を一望できる絶景を楽しみながら、今日の感動をわかちあいました。最後に観光案内所で芥子餅などのお土産を購入し、南海高野線堺東駅にて解散。
一同大満足の一日でした。
(参加者の声)
●暑い中大変お疲れ様でした。 皆様のご協力でほぼ予定通り歩くことができました。
さっそく多くのメールや写真を発信していただき、ご満足いただけたものと喜んでおります。 大仙や耳原や百舌鳥などの地名のいわれ、お茶やお菓子も味わってもらって、 堺の良さを少しでも理解していただけたものと思っております。
●すばらしいプランを企画を作成・現地案内をしていただいた鍋島様、秘密ポイントの穴場、いや空場まで案内いただき感謝です。
大阪に住みながら「全く知らないところがまだまだある」と実感した1日でした。
●私達の住むところに貴重な遺跡、宝があった事を再認識した1日でした。是非、世界遺産への登録がかなえられればと思いました。
●初めてでしかも突然参加もさせていただき大変うれしく思っています。 皆さんが、私が初めての参加にもかかわらず、楽しく・優しく接していただき、次回も是非参加させていただこうと改めて思い、感謝しております。
●「古市古墳めぐり」も企画しようと思います。
●絶好の天候に恵まれ、歩き応えもありましたが、仁徳天皇陵の大きさを実感することができましたし、内堀を眺められる場所から前方後円の形を見るという貴重な体験もし、大変充実した一日でした。堺で買った利休印のお菓子もお土産にして、とても喜ばれました。
(写真 田中・市川/ レポート 市川)