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FEEL THE ROOTS~三内丸山縄文遺跡コンサート~ に参加してきました。

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(2014-12-16更新)

【アカデミー活動レポート】                     

10月4日(日) 青森県の三内丸山遺跡に於いて東儀秀樹さんのコンサートが開催されました。青森県からの招きでこのイベントに参加、会員お二人を含む3人で「トークセッション」を実施して参りました。

「FEEL THE ROOTS~三内丸山縄文遺跡コンサート~」は、今年(2009年)、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、暫定リストに登録された事を受け開催されました。

古代エジプト文明より古い広大な定住地遺跡

三内丸山遺跡は、1992年から本格的な発掘作業が始まりましたが、東京ドーム8個分、約38万㎡という広大な遺跡で、古代エジプト文明が始まった時代より古い、今から5500年前の縄文人の定住地遺跡です。この地の縄文人の定住生活は、今から4000年前まで1500年続いたとされ、日本人のルーツを探るためにも重要な遺跡であり、我々の歴史ロマンを刺激してくれる楽しい遺跡とも言えます。
今回のイベントを後援する青森県からは、「世界遺産という見地から今回の暫定リスト入りを話して下さい」という要請がありました。考古学や歴史の専門家では無いことをおことわりしたうえで、世界遺産活動の現状などを絡めたトークショウをお引き受けした次第です。

縄文文化と世界遺産との接点

「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、日本の先史時代の文化財であり、シリアル・ノミネーション(同じ文化的背景、自然環境を共有する物件)です。これは、ユネスコのグローバル・ストラテジーに対応する物件で、注目に値します。ちなみに、2009年に暫定リストに新規登録された他の2件、「九州・山口の近代化産業遺跡」「宗像・沖ノ島と関連遺産群」も同様の要素を併せ持っており、今年の新規暫定リストは、ユネスコの考え方に即した物件登録が実現した、と言っても過言ではないでしょう。・・・というような事を話しても一般の方には中々分かりにくく、面白味も無いかもしれません。そこで今回は、すでに登録されている世界の世界遺産で、縄文時代と同時代の物件はどのようなものがあるか、という切り口から「メンフィスのピラミッド地帯」「モヘンジョ・ダーロの遺跡群」などを紹介し、ピラミッドの石の文化、モヘンジョ・ダーロの土の文化(日干し煉瓦)、縄文の木の文化というお話から始めさせてもらいました。さらに、縄文時代の発酵酒とエジプトのワインやビールの話、縄文文化代表するような土偶に関する話題なども紹介しました。ちなみに、現在、大英博物館では「世界の土偶展」が開催されており、三内丸山遺跡の土偶も数多くイギリスに出張しているそうです。エクアドルやトルコなど世界各地で土偶は発見されているそうですが、日本の土偶に関しては、韓国や中国といった周辺各地に土偶の出土例は無く、注目を集めているようです。この土偶展は、12月頃から東京国立博物館でも開催されるそうで、ちょっと見てみたい展示会ですね。

このような形で、40分の時間はあっという間に過ぎましたが、世界遺産アカデミーの存在はアピールできたのではないかと考えています。
当日は雨でした。我々の出演時間は小雨程度だったのですが、東儀秀樹さんのステージでは大雨。イベントは六本柱建物の前に設営された屋外ステージで実施されましたが、参加者の皆様は最後まで席を離れず、9月30日に新規に世界無形文化遺産に登録決定した雅楽の演奏を楽しんでいらっしゃいました。前日の10月3日(土)の夜は晴れ間が広がり、中秋の名月が、三内丸山遺跡の象徴「六本柱建物」を照らしだしていました。悠久の時の流れを超え、「縄文」が身近に迫ってくるようでした。

世界遺産アカデミー 主任研究員 目黒 正武