● マイスターのささやき:モロッコを旅して①
世界遺産検定マイスター根本潤子
みなさま、はじめまして。マイスターの根本と申します。
昨年秋、モロッコへの旅をしましたので、
これから4回シリーズの予定で、ご紹介させていただきます。
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モロッコは、アフリカ大陸の西に位置する小さな国ですが、
世界遺産を9件保有し、ヨーロッパとアフリカの文化が見事に融合され、
イスラム圏の中では比較的平穏な国です。
それぞれの街によって異なる色合い、モザイクタイルや金細工、
バブーシュなどの手仕事の美しさ、クスクスやタジン鍋といった独特の食文化など、
とても魅力溢れる国でした。
モロッコって、こんなに遠い国でしたっけ?
成田からカイロまで14時間半(エジプトへの日本人観光客の激減により機内はガラガラ)、
トランジットに5時間20分、カイロからカサブランカまで5時間半。
エジプト航空のおかげで、しっかり休肝日になりました!
ようやく到着したモロッコ王国。
入国手続きで、アッサラーム アレイコム(こんにちは)! と元気よく挨拶したら、
その後はすぐに Can you speak English?
もちろん、これ以上のアラビア語は無理でした。
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まずは、モロッコの基本情報から。
国土面積は日本の1.2倍、人口は日本の4分の1。
主として、ベルベル人(45%)、アラブ人(44%)のほか、
黒人系と12万人のヨーロッパ人など。
公用語は、モロッコ訛りのアラビア語、ベルベル語、フランス語。
10月半ばの気温34℃、湿度40%以下、時差-9時間。
通貨はDH(1ディルハム=約10円)。
物価はかなり安かったです。
ちなみにマグレブとは、アフリカの西に位置し
「日が没すること、没するところ」というアラビア語を原義とする地域名で、
モロッコのことを呼ぶこともありますが、
マグレブ諸国とは、もう少し広い地域の
モロッコ、アルジェリア、チュニジア、西サハラを指します。
降り立ったカサブランカ、ムハンマド5世空港―王様のお名前と思いきや、
現国王のムハンマド6世のおじいちゃんのお名前です。
そもそもBC3000年頃から、先住民族ベルベル人が住んでいたと考えられ、
東ローマ帝国の支配やフランス保護国時代を経て、
第2次世界大戦後フランスから独立を勝ち取ったのが、ムハンマド5世。
その後、息子のハッサン2世から現代的で物分りが良いとされる孫のムハンマド6世が継承。
ベルベル人のベルベル語(タマジクト語)を学校のカリキュラムに入れ、
アラビア語に次ぐ言語になったことで、大変人気があり、
国内あちこちのレストランや商店には、ムハンマド6世と彼の家族の写真が飾られていました。
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◆ カサブランカ
スペイン語の白い家の通り、ここは白い街。
白い建物が目立つ、モロッコNO.1の都市。
遠くから目立つハッサン2世モスクは、世界遺産ではないけれど、
8年がかりで完成したモロッコ最大、世界で5番目に大きいモスクです。
高さ200mのミナレット、礼拝堂に25000人、広場には8万人収容という規模。
ミナレットの3つ玉は、下から現世・来世・神の世を表しています。
設計はフランス人、中のシャンデリアはベネチア・ムラーノガラスで、
ソーラーシステムを利用した床暖房が備え付けられているのは、斬新なアイデアです。
冬の大理石の床は冷たいので、これなら1日5回のお祈りも大丈夫ですね。
ただ残念なのことに、モロッコのモスクへの立ち入りはイスラム教徒でない限り、
厳しく制限されていました。以前訪れたトルコとは、大きな違いです。
◆ 首都ラバト
カサブランカから約100km。2012年に登録されたばかりの世界遺産があります。
『ラバト:近代の首都と歴史都市の側面を併せもつ都市』(ii)(iv)。
ラバトは、商業貿易の中心地として発展し、
フランスの保護国となった1912年にフェズに替り首都となりました。
新市街は、各国の大使館や各官庁の近代的なビルが立ち並び、
旧市街のメディナに一歩入ると、アラブ特有の庶民的な暮らしが今なお残ります。
城壁に続く建物が、良く調和しています。
次回は、世界遺産を3箇所ご紹介する予定です。
シュクラン(ありがとうございました)!
<続く>