◆世界遺産クラブ通信◆ 活動リポート-5
【ハワイ再考:キラウェア火山(ハワイ島)を訪ねて】
お久しぶりです、世界遺産クラブの “主婦 del mondo”でございます。
10月10日~15日、ハワイに行っておりました。そう、世界遺産とはあまり関係なさそうなファミリー・リゾートの王道中の王道。
でもね、今も地球上で最も活発という活火山を擁する「ハワイ火山国立公園」があるのを忘れちゃいけません。
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いまさらハワイ、されどハワイ
7年ぶりのハワイは、夫の両親をお連れする旅。お二人とも80歳目前にして健脚/健啖&好奇心も旺盛なれど、さすがにペース配分や食事、訪問先のセレクトには腐心。ま、結構楽しんでいただけたみたいで、概ね合格点を頂戴できたのではないかと。
日本を発ってまずはダイレクトにハワイ島へ。コナのコーヒー園(写真:収穫直前のコーヒーの実は赤い)や、カメハメハ大王生誕の地コハラ、島内最大の町ヒロ、山脈の麓に広がる牧場、景勝地ワイピオ渓谷などを巡る。信号も少なく渋滞とも無縁のフリーウェイを走りに走って移動したが、東京都4個分に相当する面積は思っていたより広い。また、車窓から見えるのはゴツゴツした海岸線と草木のまばらな黒光りのする溶岩大地がほとんど。この島が火山から生まれたことをあらためて思い知らされる。
今回の旅で私にとっての最大のハイライトは、キラウェア火山。1987年自然遺産に登録された「ハワイ火山国立公園」である。が、しかし。訪問の3日ほど前に噴火があったばかりで硫化水素が噴出しているからと、本来ならビジターもOKな近距離での観察ができないとのこと。火山全体マップ(写真)にある下半分の道路および見学スポットは立ち入り禁止。
「生き物のようにうごめく溶岩を間近で見るぞ!」と張り切っていたのに撮影できたのは噴煙の遠景(写真)のみ…
そんな私を和ませてくれたのは、不毛の溶岩地面に可憐な花を咲かせていた固有種オヒアの姿(写真)だった。
ハワイ島コナ空港から一時間弱、お馴染みのオアフ島へ。ホノルルで最初に訪ねたのは ♪♪このぉー木なんの木、気になるきになる木~♪♪(写真)。空港近くの公園になんともさりげなく実在する。
翌日はパール・ハーバー見学に丸一日。その他は素直にリゾート客に徹してワイキキの海と空、夜はショーや夜景を満喫して帰国の途へ就く。
知られざるハワイの魅力
筋金入りの観光立国ハワイについては、今さら説明することはないだろう。咲き乱れる南国の花々、緩やかな時間、眩しい陽光、荒々しい自然も顕在だが、言語もライフスタイルも基本はすっかり「アメリカ」だ。1778年キャプテン・クックのハワイ諸島発見から100年足らずで、ハワイの先住民の多くが死亡した。太平洋の真ん中で母なる海に抱かれ、何百年も外の世界と孤立して暮らしてきた彼らには、外界から持ち込まれた病気に対する免疫がなかったのだ。その後は急速に「西欧流」が進むとともに、日系を含む多くの移民が定住し、今や純粋な先住ハワイ人は現人口の1%にも満たないという。観光が最大の財源である宿命から、より世界標準的利便さやエンタテインメント性が追求されるのは仕方ない一方で、先住民の言語や伝統、多くの固有種・希少種を含む動植物を大切にしていこうと努力している。火から生まれたこの島々には、火の女神ペレ信仰や独特の天地創造観を表現したチャント(古謡)など、興味深い伝承文化も豊富だ。世界遺産としてすでに有名な「ハワイ火山国立公園」以外にも、広く人々に知ってもらいたい有形・無形の価値ある遺産が息づいていることに注目したい。