■ 研究員ブログ84 ■ フォースの覚醒 あるいは 善と悪……ペルセポリス
冬は寒いんだ! 油断してたらダメだよ、と言わんばかりの、
急な寒気ですね。
そのおかげか、昨日の朝は通勤中の車窓から
真っ白な雪に覆われた富士山がくっきりと綺麗に見えました。
姿が見えただけで嬉しくなるなんて、富士山はやっぱりすごいです。
その楽しい気分のまま、仕事帰りに「STAR WARS」を観てきました。
エピソードIVに似ているというのは、まぁそうかなとも思いましたし、
突っ込みどころというか、言いたい事も色々ありましたが、
子どもの頃、初めてエピソードIVを観た時のような、
ワクワクした高揚感があって楽しめました。
内容について詳しくは書きませんが、
「STAR WARS」シリーズを貫く特徴となっているのが、
ジェダイとシスの、善と悪の物語です。
善のフォース(エネルギー)を用いるライトサイド(光明面)のジェダイと、
悪のフォースを用いるダークサイド(暗黒面)のシスの二元論で
物語の根幹は構成されています。
こうした「STAR WARS」の、善と悪の世界観に強い影響を与えたのが、
アケメネス朝ペルシアなどで強く信奉されていた、ゾロアスター教です。
ゾロアスター教は、紀元前7世紀ごろに
ザラスシュトラ(英語読みでゾロアスター)が興した宗教です。
ニーチェの著作『ツァラトゥストラはかく語りき』の
「ツァラトゥストラ」は「ザラスシュトラ」を
ドイツ語読みしたものでもあります。
ゾロアスター教では、善と悪の二元論で世界を捉えており、
この世は善(光)の神アフラ・マズダと、
悪(暗黒)の神アーリマンとの絶え間ない闘争であるとされています。
聖典『アヴェスター』では、
最後の審判で善(光)の力が勝利すると考えられており、
人々は最後の審判で楽園におもむくために、
善思(よい考え)、善語(よい言葉)、善行(よい行い)を心がけ、
善(光)の力を崇拝しました。
また、善(光)の神アフラ・マズダの象徴として、「火」が尊ばれました。
「拝火教」とも呼ばれる所以です。
この善思、善語、善行をしないとダークサイドに墜ちるってところ、
ジェダイの教えそっくりですよね。
アナキンがダークサイドに墜ち、ダース・ベイダーになったのも、
まさにそれが理由だったし。
……STAR WARS 観たことない人には、チンプンカンプンですみません!
世界遺産で、このゾロアスター教と強く結びついているのが、
アケメネス朝ペルシアの重要な都市であった、
イランの『ペルセポリス』です。
ペルセポリスという名前は、
ギリシャ語の「ペルシア人の都市」を意味する言葉に由来しますが、
ペルシア語では「タフテ・ジャムシード(ジャムシードの玉座)」と
呼ばれていました。
ジャムシードとは、ゾロアスター教の神話に登場する人物で、
イラン最古の王朝の王とされています。
ペルセポリスを築き始めたアケメネス朝ペルシアのダレイオス1世は、
西のエーゲ海から東のインダス川にまで広がる大帝国を築きながら、
服従した異民族に対しては、彼らの風習を尊重し、
自治を認めるなど穏和な政治を行いました。
まるでジェダイ……そんなことはないか。
このゾロアスター教の教え、現在にも示唆に富んでいる気がします。
情報が溢れ価値観が多様化し、力が多極化した現在、
何が「善」で何が「悪」なのかわかりにくい、というか、
はっきりと善悪を分けることすら困難ですが、
ひとりひとりが、さまざまな情報に惑わされずに、
善思、善語、善行を心がけることが大切なのだと思います。
その意味で、STAR WARSでの帝国軍の衣装が
ナチス軍の軍服に似ているのも考えさせられます。
ちなみに、『STAR WARS フォースの覚醒』の
最後の場面のロケ場所は、世界遺産です。
あれ? と思って調べてみたら、やっぱりそうでした。
皆さん、気がつきました?
興奮して「STAR WARS」のことばかり書いてすみません。
しばらくはフォースと共にありたいと思います。