●マイスターのささやき NO.2 古都京都の文化財
皆様はじめまして。 マイスターの山田と申します。7月15日に発行される会報誌(WHA-MR第4号)の巻頭インタビューが「平等院」とのことですので告知も含め「マイスターのささやき」に投稿させていただきました。
●平安の王朝ロマン あこがれの宇治へ●
今年、初めて宇治へ行った。何年か前に、源氏物語を読んで以来、いつか宇治を旅してみたいと思い続けていた。京都へは、何度も旅行していたのだが、中心から外れるためか、なかなか足を運ぶことができないでいた。その帰路の度、「また行かないままになっちゃったな」と後ろ髪引かれる思いで新幹線に乗り込むのだった。行く行かないは、多分、気分一つの話なのだが、ようやく数年来の思いが実現することとなった。
朝一番に、京都から電車に乗って、宇治へ向かった。源氏物語の宇治十帖、恋のロマンの地へ向かっていると思うと、いやでも気持ちが昂ぶってくる。薫の君のつもりでもないけれど。あこがれを抱いた地へは牛車ではなく電車、その窓の外を現代的な風景が流れていく。それでもいいのだ。向かう電車の中で、平安の恋愛ドラマをぼんやりと想像しながら、徐々に郊外へ向かう景色を眺めていた。
電車を降りると、本当になんてこともない普通の駅だった。それはそうだ。歴史のトンネルを通るわけではないのだ、と得心した。そして、小さな商店街を通り抜け、まっすぐに平等院へ。
世界遺産「古都京都の文化財」の一つ、平等院。開門してまだ時間もそう経っていない朝9時、オフシーズンということもあってか、歩いている人はまばらで、池の淡いさざなみが朝日をうけて輝き、静謐な時間が流れていた。それは、造営されたはるか昔から変わらない姿でいることを、改めて意識させられざるを得ず、あたかもその時代を、その空間を通して透かして見ているかのようだった。ふわっと、過去に意識が向かうと、不思議なことに自分の存在がふっと消えて、あたかも超越者として歴史を眺めるかのような、そういう気分になるから不思議だ。宇治十帖にしろ、薫の君にしろ、大君やそのほかの登場する女性にしても架空の人物であるし、平等院で物語が繰り広げられたのではないが、とはいえ、宇治というこの地にはそれを想起させる王朝ロマンが確かに今も存在しているように思えた。
鳳凰堂の正面に立った。思わず十円玉を取り出す。そっくりそのままだ。何度も写真で見ているものを実際に見てみるのは、それだけでも感慨深いものだ。全体的に軽さがあった。写真で見ていた時には、風格があり、厳格でどこか威圧的な雰囲気が漂っている印象を持っていた。が、実際に見ると、華やかで、今にも飛び立ちそうな軽やかさだった。まさに鳳凰堂だ。朱塗りが経年で剥落していたが、これが創建当初の色を備えていたらいかにきらびやかだったろう。きっと極楽を想像するに余りあるものだったに違いない。
鳳翔館には、平等院の宝が多く展示されていたが、なんといっても飛天(雲中供養菩薩)が見られるのがうれしい。飛天は手のひらサイズのものかと思っていたが、実物はずっと大きく、見た目からも重量感があった。面白いのが、それぞれ舞っていたり、楽器を演奏していたりと、遊び心とも思えるようなその多様さで、一つ一つ見比べては、見入ったり、それこそ時間を忘れた。ミュージアムショップでは、雲中供養菩薩のトランプがあった。これが絶妙で、52体の飛天の写真が収められている。(トランプの数も、飛天の数も、ともに52。お見事!)もちろん購入。
平等院を後にすると、次に向かったのは宇治上神社。現存最古の神社建築とも言われる、これまた「古都京都の文化財」の一つ。想像していたよりはるかに大きな宇治川を渡る。ところどころに源氏物語の宇治十帖のモニュメントみたいなものがあり、それだけでも楽しくてしょうがない。
平等院の対岸、小さな小径の奥のようなところに、宇治上神社はあった。割と唐突な感じだ。神社だけあって、全体的に素朴な作り。でも、そこがいい。素木造で、平等院とは対照的だった。あっちから見たり、こっちから見たりと、なんだかせわしなく眺めてしまった。荘厳さの中にも品のある優雅さを湛えていて、おだやかな緊張感を与えてくれる神社だった。そこに心地よさを感じ、その快感を味わいながら、宇治上神社を出た。
さて、宇治の旅のクライマックスは、源氏物語ミュージアムだ…と、勇んで行ってみると、なんとその日は月曜日で休館日。しっかりオチがついてしまった。他にも行ってみたいところもあったが、今回はこれでタイムオーバー。また、そうち機会を見つけて訪れてみたい。
さて、宇治の旅のクライマックスは、源氏物語ミュージアムだ…と、勇んで行ってみると、なんとその日は月曜日で休館日。しっかりオチがついてしまった。他にも行ってみたいところもあったが、今回はこれでタイムオーバー。また、そのうち機会を見つけて訪れてみたい。
さて、宇治の旅のクライマックスは、源氏物語ミュージアムだ…と、勇んで行ってみると、なんとその日は月曜日で休館日。しっかりオチがついてしまった。他にも行ってみたいところもあったが、今回はこれでタイムオーバー。また、そのうち機会を見つけて訪れてみたい。