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平等院より特別イベントのお知らせ

   タグ:日本 
(2014-12-17更新)

平等院 住職 神居文彰さんより特別イベントのお知らせです。

このたび、国宝仏後壁調査の一環として『平等院鳳凰堂仏後壁調査資
料目録-近赤外線画像篇-』が刊行されました。
そこでは、下絵線や書き直し線などが明瞭となり、それを元に、現在様々な調査を
実施しています。
平等院では、創建期の様子を復元する作業を行っていますが、舞楽の下絵線から
当時の舞楽の演目が特定されるに至りました。
平安時代中後期の舞楽の実際の動きが確認出来たことは初めてのことです。
それは、唐代の中国等から渡来した宮廷音楽とその様式をもとにした唐
楽ではなく、日本の藤原家が作曲した『延喜楽』でした。
また、その衣装と舞楽を、平成22年3月27日(土)浄土宗南城組壇信徒大会にあわ
せて、平等院境内にて舞台を設置し、奉納する事に致しました。
壇信徒以外、平等院の拝観料にて誰でもがご覧いただけます。
特に記者発表は実施いたしませんが、行幸啓とは別に、歴史・文化・芸能・宗教・
科学・地域に関わる重要なこととのご指摘を頂き、急遽、おしらせ致します。

                記

『平等院鳳凰堂仏○ 後壁調査資料目録-近赤外線画像篇-』の発刊
(H22.2/26・非売品)
○ 仏後壁に描かれる舞楽の演題が特定。
○ 平安時代中後期の舞楽の実際が具体的姿として初めて発見される。
○「延喜楽」は、延喜年間(901-922年)、藤原忠房が作曲した右方(高麗
楽) 舞楽平舞の代表演目で慶祝の意味を持つ舞。
襲装束、鳥甲、右肩袒、鳥兜をかぶった4 人の舞人が、一人づつ登台
し出手を舞い、四隅の舞座に立つ。
○ 特徴である、両手を広げて体を斜めに傾けながら、右足を踏み込む振り
が、950年前の仏後壁から映像のコマのように確認された。
仏後壁「延喜楽」場面近赤外線画像(関連ニュース参照)

※近赤外線画像:可視光域で極めて赤外線に近い光を反射させた情報画像。
墨線を明瞭に可視化するだけでなく、顔料の厚みなどの状態も画像化される。
文化財を非破壊で計測できる。
城野誠治「近赤外線蛍光画像で視る文化財」(非破壊計測シンポジウム講演要旨集2 0 0 4 )
同「画像形成技術の開発に関する研究]

○ 識者コメント
平安時代には舞楽法要が営まれていたことを文献等では明らかであった
が、平等院で拝見した仏後壁に描かれた舞楽は、左右の腕を斜めに大きく
広げ、腰を落とした舞の一瞬を写し取り、さらに緑の衣装から右舞・高麗
舞の延喜楽であることが確認できた。
それを元に、衣装も含めて再現という形で奉納させて頂くが、
舞楽と法要を同時に行う初めての経験で、最初は心配もあったものの、
導師の声明のテンポと舞が見事に調和し合い予期せぬ結果をもたらし、古
代舞楽絵巻が再現出来た、と喜んでいる。
( いちひめ雅楽会主宰飛騨富久宮司)

関連ニュース(画像はこちら)

○ 3月27日( 土) 16:00~

浄土宗南城組壇信徒大会の特別イベントとして、
平等院鳳翔館にて、「極楽浄土の調べ~雅楽に触れる~」

いちひめ雅楽会により奉納。
雅楽会代表による解説あり。
※ 浄土宗南城組: 京都、南山城地区( 宇治市宇治川西より城陽・宇治田原・井手町
までの約4 0ヶ寺。
その寺院住職及び檀信徒代表25 0名が、来年の「法然上人80 0年大遠忌」を記念
して、平等院を会所にお待ち受け法要を開催。

14:00~ 法要
16:00~ 舞楽奉納
17:00~ 鳳凰堂対岸にて夕陽を拝しながら素読で念仏・礼讃を行う。
○16:00~舞楽は、壇信徒以外、平等院の拝観料にて誰でも参加・観覧可能。

○ 住職コメント
「平安時代の舞楽の動きが具体的に発見されたことは大変な驚きで、それ
が現在まで続く文化の厚みと豊かさに感銘を受ける。
平等院 住職 神居文彰( 47)」

○ 識者コメント
平等院は創建者藤原頼通によって、舞楽法要形式の大法会「一切経会」
がわが国で始めて行われたのをはじめ、左方舞人の家狛光則一族を招聘す
るなど、創建当初より舞楽と大変関わりが深い。
今回、発見された仏後壁「延喜楽」の舞姿は、平安時代の舞楽の具体的
な所作を知ることができ感銘を受けると同時に、藤原頼通、藤原摂関家と
舞楽との関係を考察するうえからも貴重な資料で、今後の舞楽研究、ひい
ては古代芸能史を大きく進展させるであろうと考えている。
( 佛教大学宗教文化ミュージアムポストドクター斉藤利彦日本芸能史)

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