第32回世界遺産委員会ニュース⑥(新規自然遺産の紹介②)
南太平洋のニュー・カレドニアの珊瑚礁も登録!
第32回世界遺産委員会にて新規登録された計8件の自然遺産のうち、前回紹介した4件に続き残りの4件を紹介します。フランスの海外領土ニュー・カレドニアの珊瑚礁、中国江西省の国立公園、メキシコの蝶の楽園、そしてカナダの化石の宝庫です。
■ ニューカレドニアの珊瑚礁:環礁の多様性と関連する生態系(フランス)
ニューカレドニアはフランスから遠く離れたオセアニアに位置します。
フランス海外領土の中でも多くの自治が認められた「特別共同体」という地位にありますが、国連やユネスコには加盟していないため、フランス共和国の物件として登録されました。
ニューカレドニアの珊瑚礁は6つの海域からなり、世界で最も広い3つの環礁系のひとつとして、珊瑚礁の主要な多様性と関連する生態系の顕著な例となっています。
ニューカレドニアの珊瑚礁と礁湖は、健全な個体数の多様な巨大肉食生物や巨大魚と共に、無傷の生態系を守っており、多くの魚類や亀類が生息しているのみならず、世界で三番目のジュゴン生息数を誇るなど、危機にさらされている海洋哺乳類も多く生息しています。
また美しい景観や環礁が長い年月をかけて守られており、珊瑚の化石などはオセアニアの歴史を伝える貴重な資料ともなっています。
英 語 名:The Lagoons of New Caledonia: Reef Diversity and Associated Ecosystems
仏 語 名:Les lagons de Nouvelle-Calédonie : diversité récifale et écosystèmes associés
登録基準:(ⅶ)(ⅸ)(ⅹ)
■ 三清山国立公園(中国)
三清山国立公園は、江西省の北東、不玉山(「不」は、りっしん偏がつく)の西の端にあり、その独特の景観美で登録されました。花崗岩でできた48の尖峰と89の柱石が、人間や動物のシルエットを髣髴とさせ、とても印象的です。
標高1817m の三清山の美しさは、とくに気象条件によって引き立たされています。雲にかかる光の輪や白い虹によってその姿は常に変化し、息を呑むような美しさを生み出すのです。
この地域は亜熱帯季節風の影響を受け、亜熱帯の景観の上に穏やかな森を形作っており、公園には他にも多くの滝や湖、泉を含んでいます。
英 語 名:Mount Sanqingshan National Park
仏 語 名:Parc national du mont Sanqingshan
登録基準:(ⅶ)
■ オオカバマダラ蝶生物圏保護区(メキシコ)
オオカバマダラ蝶生物圏保護区は、メキシコの北西、約100km に及ぶ山脈の中に位置します。
毎年秋になると、何千から十億匹もの蝶が、北アメリカの広い地域からやってきて、保護区のごく小さな森林の一部に積み重なります。その姿は木々をオレンジ色に見せ、重みで枝をたわませるほどです。春になると蝶たちはカナダ東部へ再び移動し、8ヶ月後にまたメキシコにやってきます。その間に4世代もの世代交代があるのですが、世代交代を経た彼らが、どのように越冬地であるメキシコへの帰り道を見つけるのか、いまだ不明です。
英 語 名:Monarch Butterfly Biosphere Reserve
仏 語 名:Réserve de biosphère du papillon monarque
登録基準:(ⅶ)
■ ジョギンズの化石崖群(カナダ)
カナダ東部ノヴァスコシア州の海岸に位置するジョギンズの化石崖群は、石炭紀の化石の豊かさのために「石炭紀のガラパゴス」と呼ばれてきました。
崖の岩々は、その時代の地球の歴史を示す重要なポイントであると考えられ、世界中で最も厚く最も豊かなペンシルヴァニア紀の地層は、その時代の地球の営みを完全な形で記録しています。初期の動物や彼らの生活していた雨林の痕跡や残骸が、手付かずの状態でそこに含まれているのです。
また14.7km の海岸や海に面した絶壁は、三つの生態系を留めています。96属148種の化石と20の足跡から、三角江湾、氾濫原の雨林、沖積平野と淡水の沼、といった三つの生態系をうかがい知ることが出来ます。
ジョギンズの化石崖群は、地球の歴史の主要な段階を示す見本として、世界遺産に登録されました。
英 語 名:Joggins Fossil Cliffs
仏 語 名:Falaises fossilifères de Joggins
登録基準:(ⅷ)
※この文章は、UNESCOホームページに掲載されているニュースをもとに執筆・編集しています。https://whc.unesco.org/en/news/(英語) https://whc.unesco.org/fr/actualites/(仏語)
※遺産名はまだ正式決定のものではなく、その日本語訳も世界遺産アカデミーが独自に付けたものであり、今後変更の場合があります。
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