● マイスターのささやき:GW関西世界遺産紀行 ~マイスターが限界にチャレンジ・7日でいくつ回れるか!?~その④
世界遺産検定マイスター 本田陽子
◆ 「古都京都の文化財」見所はココだ!
今回は、京都の世界遺産の見どころを旅のルートに沿ってかいつまんでご紹介します。
旅を通じて改めて実感したんだけど、世界遺産ってパワースポットとかご利益スポットとけっこう重なるんですよ。
日光しかり、高野山しかり。世界的に見ても「ウルル・カタ・ジュタ国立公園(=エアーズ・ロック)」などを
含むさまざまな聖地が世界遺産に登録されてるんですよね。
この方面にわたしが妙に力が入ることは、コラムを読んでいる方はうすうす(笑)感づいていると思いますが、
これらの相関関係は今後研究してみよう。。
高野山に続いて、京都では3日間過ごしました。ひたすら、世界遺産めぐり。
移動は、宇治への往復を除いてすべて市バスです。1日乗車券はわずか500円!すばらしい!
ではスタート!
○ 京都初日
①清水寺 → ②西本願寺 → ③東寺
この日は14:30に西本願寺の特別拝観の予約がはいってたので、時間調整が難しく3か所どまり。
四条通からみて南側をぐるっと回りました。
・ 清水寺
「ザ・観光」を絵にかくとこうなるんじゃないでしょうか。参道の賑わいも懸造の本堂から眺めるすばらしい景色も。
ただ、世界遺産という観点からいうと、そんなにそそられないんだよなあ……。
当時のノートを開いてもほとんどメモを取ってなくて、余白に「八つ橋シュー」とかスイーツ情報が書いてあるし。
ご利益スポットってことでいうと、縁結びで有名な「地主神社」のスタンスはすごい。もう肉食的っていうか。
この中だけでご利益てんこもりですが、他にも本堂下の音羽の滝が有名ですね。細かくみていくと、仁王門そばの善光寺の首振り地蔵とか、仁王門の柱のくぼみ、朝倉堂の仏足石、さらに奥の院の裏の「ぬれ手観音」あたりはご利益があるようです。
わたしは急いでたので仁王門のくぼみ以外はスルーしました。(はい、触りました笑)
ここは33年ごとに御開帳される秘仏を狙うしかないですね!次回は2033年……。
地主神社の入り口で御祭神である大国主命(おおくにぬしのみこと)がお出迎え。パンチありすぎです。
背後の「世界文化遺産登録」の看板がうさんくさく見えるのはなぜ……
・ 西本願寺
前回お話ししましたが、ここはぜひとも書院と飛雲閣を見てください。
普段は非公開らしいので、お寺に問い合わせてみてくださいね。
……えっ、タイミングがあわなくて書院を見られない?
そうですか、ほんとは出直してほしいところですが、ではせめて唐門を見てきてください。
ところで、この寺には秀吉にまつわるエピソードがいろいろあるんですが、ガイドさんは
「実は秀吉がここに来たという史実はない」って言ってました。なに~~~!?
・ 東寺(教王護国寺)
特別公開の時に行くと、五重塔の初層内部も見学できますよ。
内部は、仏像の配置も柱も壁も密教ワールドで埋め尽くされています。へ~~~塔の内部ってこうなってたんだ。
東寺の目玉は講堂の立体曼陀羅(まんだら)でしょうね。
曼荼羅とは密教の世界観を図式化した絵画で、仏さまや記号が描きこまれたものです。
で、東寺の立体曼荼羅は、リアルな21体の仏像を配置することで、本来平面である曼荼羅を立体的に具現化したものなんです。それを考えたのが空海である、と。
空海は密教を中国から輸入したパイオニアですが、当時の中国でもこういう発想はなかったみたいですね。
空海はそうとう自由な発想の持ち主だったってことかなあ。まだ研究がたりません。
国宝の仏像をこれだけ間近に、ショーケースなしで見れるってのは珍しいみたいです。
そして「日本一のイケメン仏像」帝釈天を含む8体の仏像が、この夏東京にやってきます!東寺も思い切りましたね。
詳しくは東京国立博物館のホームページをチェック!
○ 京都2日目
この日は四条通からみて北側を攻めました。
①下鴨神社 → ②銀閣寺 → ③金閣寺 → ④龍安寺 → ⑤仁和寺 → ⑥上賀茂神社
無茶しすぎです。さすがに疲れました・・・。
・ 下鴨神社(賀茂御祖かもみおや神社)
上賀茂神社とともに平安京鎮護の社とされ、いずれも都の鬼門を守りました。
……それって風水ですか?
そうなんです!平安京は風水都市であり、江戸城のお手本となりました。
お勧めは、「糺(ただす)の森」。早朝に訪れた時のすがすがしさといったらありません。
境内には干支の守護神が祀られ、広い敷地の中には鴨長明ゆかりの河合神社、縁結びで有名な相生神社や「連理の賢木」などもあり、パワースポットとしてもかなりのものです。わたしも2年前に京都在住の友人に連れられて賢木の周りを3周しました。友人の周りではこの「3周参り」で2組のカップルが生まれたそうですが、わたしについては聞かないでください・・・・。
ここはみたらし団子発祥の地なので、帰りがけにお団子をほおばるのもいいのでは。
特別公開で見られる唐門。なんの彫刻かわかりますか……? ブドウなんですよ。お祓いの意味があるとか。
・ 銀閣寺
ここも前回力説しましたが、特別拝観をぜひ狙ってください。
銀閣こと観音堂のすばらしさはもちろんなのですが、その前に広がる銀沙灘や砂盛りもシュールでなかなかよいです。
そして、庭園が実はすごくいいんですよ。義正は、世界遺産である西芳寺(通称:苔寺)の庭を見本としたようです。
わたしが訪問したときには小雨が降っていたんですが、苔が水滴を含んで、庭全体がやわらかな緑の光を放っていました。
・ 金閣寺
正直いっちゃうと、ここもあんまりそそられないんですよね・・・。
つい先日世界遺産となった平泉同様、ここも「浄土世界」を具現化してます。あちらは平安時代、それに対して金閣寺は室町スタイルとでもいいましょうか。もう義光が権力を見せつけたというか、どうじゃあ!って感じです。
また、義光と義正の表現の方向性の違いに思いをはせるのもいいかもしれません。
ここって1950年に坊主がおこした放火事件により焼失しちゃったんですよね……。なんで燃やすかなあ……。
・ 龍安寺
とにもかくにも15個の石。
わたしの背後で、ガイドらしきおじさんが「ここに立つと全部見えるんだよね~」と言ってました。
たしかに見えました。それは余興みたいなもので、この庭の本質的な楽しみ方ではないと思うんですが、興味があったらそのポイントを探してみてください。あと、方丈の彫り物がなかなかかわいいです。
GWだし、石庭前に座る隙間もないのは想定内だったんですが、やっぱり人が多すぎて落ち着きませんでした。
・ 仁和寺
金閣~龍安寺~仁和寺は「きぬかけの路」でつながっていてのんびり歩ける距離ですが、徐々に足に乳酸がたまってきており(=要は疲れてきた)、徒歩15分の龍安寺~仁和寺間をバスで移動してしまいました。
ここは皇室ゆかりのお寺だけあり、御苑の書院はなかなかのものです。なにより遅咲きの御室桜の時期が有名。
境内がけっこう広いんですが、終盤はへろへろになって細部にいたるまで観察しきれませんでした。
・ 上賀茂神社(賀茂別雷かもわけいかずち神社)
仁和寺でへろへろになりながらも向かってしまったんですが、18時に到着したらニノ鳥居から先は入れませんでした……。地元の友人いわく「あたりまえだろ」と。神社って24時間開門してないんでしたっけ?
ここは皇室の厚い崇拝を得た、京都最古の神社のひとつです。この神社が祀る神は「処女懐妊」により産まれた、との
神話があります。(母神が下鴨神社に祀られてるわけです。)興味深いテーマですね。
拝殿の前の立砂はピンポイントのパワスポらしいです。わたしは鳥居の手前から遠くに眺めただけですが……。
○ 京都3日目
京都最終日です。京都の中心地で残った二条城を押さえた後は宇治(平等院、宇治上神社)、
さらに醍醐寺にいくつもりだったんですが、予定外の行動をとったため宇治で時間切れ。その理由は……。
①二条城 → ②東本願寺 → ③平等院 → ④宇治上神社
・ 二条城
ここは徳川幕府の城でしたが、大政奉還後、葵の紋はすべて菊紋に取り換えられたそうです。
つまり朝廷の所有となったわけです。が、よくみると、ちらほらと葵の御紋が……。
四葉のクローバーをさがすような気分で葵の御紋をさがしてみるのも一興かと。
二の丸御殿が観光のハイライト。部屋の用途により趣が激変するんですよ。じっくりみるとかなり面白い。
あ、そうそう、ここは「古都京都の文化財」において、寺社以外の唯一の世界遺産なんです。
・ 東本願寺
……あれ? ここ、世界遺産じゃないですよね?
そのとおりです。
今年は親鸞ご遠忌750周年。お寺にお願いされて、井上雄彦氏が親鸞の屏風絵を書きました。
GW中にちょうど公開してたんですよ。わたしは「最後のマンガ展」の熊本展と大阪展に行った口なんですが、
やっぱり屏風も見とくか、と。親鸞の魂がこもってる感じがしましたよ。
そこ以外、境内は全部スルーしちゃいました。親鸞さん、すみません……。
・ 平等院
高校の修学旅行で来たはずですが、かけらも覚えていませんでした。
あの当時は、いや世界遺産を勉強する前はここの良さがわかんなかったですね。
わたしはまだ平泉にいったことがないんですが、こことの比較もまた面白いのでは。
国宝密度全国ナンバー1である、ミュージアムが充実している、鳳凰堂と金閣寺の鳳凰の違い(1万円札の裏面は
どっちの鳳凰でしょう?)、なんてのも注目してみてください。
・ 宇治上神社
知名度からいうとマイナー感はぬぐえませんが、日本に現存する最古の神社建築です。
近くの宇治神社ともともとは一体だったので、セットでまわってみてください。
本殿のようにみえる外観は、実は3つの本殿を覆う建物です。
わたしは格子の隙間からじいいい~~~~っと
内側の本殿を観察してしまいました。神様に失礼だったかもしれませんが好奇心が押さえきれず、神様ごめんなさい。
3つの本殿、すなわち3人の神様(父、兄、弟)には悲しい物語が秘められているので、予習していくといいんじゃないでしょうか。
うさぎにゆかりがある神社なので、うさぎのかたちをしたおみくじもあります。
はあ~、書きながら旅がぶり返してきました。みなさんもお疲れになったかもしれませんね。
ってことで、12か所(上賀茂神社は行ったというのもおこがましいので気分的に11.5ヵ所)回りました。
そしてこれが3日間のルートです!(パワーポイントで作るつもりでしたが、文章書いてて力尽きました・・・)
これで京都がわかった気になったとはとても言えませんが、平安から室町、安土桃山、江戸時代を彩った
さまざまな人物や出来事が自分の前をわあーっと駆け抜けていったような、立体的な歴史絵巻を見続けたような
気分になりました。
神様、僧侶、貴族、武士、将軍、天皇、、、いろんな人に会ったような。
今回行けなかったところは、いずれぜひとも回りたいですね。鳥獣戯画で有名な高山寺、銀閣寺のいわば原型である
西芳寺など。
……しかし、読み返すとパワスポガイドになってる気がするわ……
(前回同様繰り返しますが、世界遺産アカデミーはスピリチュアルな方向と一切関係がありません。)
そして翌日から奈良2DAYS!
京都以上に綿密に緻密に計画を組んでおります!
奈良では自転車を乗り倒して世界遺産を駆け抜けました。
そしてアノ芸能人のうわさを何度も耳にし、アノ人気キャラともふれあい、濃い二日間を過ごしました。
いよいよ次回は最終回です!乞うご期待!
(つづく)