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第32回世界遺産委員会ニュース①(ドレスデン・エルベ渓谷)

ドレスデン・エルベ渓谷、登録抹消をとりあえず回避

カナダ・ケベックで開かれている第32回世界遺産委員会は4日、危機遺産リストに登録されているドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」を、世界遺産リストから抹消はせず、条件を課した上で、引き続き登録のままにすることを決定しました。
ドレスデン・エルベ渓谷は18世紀から19世紀の間の建造物と周囲の自然の融合が見事な文化的景観として、2004年に世界遺産に登録されました。しかし住民生活の利便性のため、エルベ渓谷の両岸を結ぶ4車線の道路橋を建造する計画が持ち上がり、景観を壊すものとして2006年に危機遺産リストに記載されました。
昨年の世界遺産委員会でも橋の建設をめぐり世界遺産リストからの抹消が取りざたされ、今回は建設の着工が始まったにも関わらず抹消とならなかったのは、建設の是非を問う司法判断がまだ決着していないこと、建設反対の市民団体が積極的に活動していて、彼らにチャンスを与えることなどが理由となっています。
ただ委員会は建設の着工に遺憾の意を表し、ドレスデン市に対し引き続き建設差し止めを訴えるとともに、橋ではなくトンネルの建設を進めるよう要求しています。さらに、もし建設が進められ景観の破壊が起こるようならば、2009年に登録を抹消すると宣言しています。

※この文章は、UNESCOホームページに掲載されているニュースをもとに執筆・編集しています。https://whc.unesco.org/en/news/447/(英語) https://whc.unesco.org/fr/actualites/447(仏語)