第32回世界遺産委員会ニュース⑧(監視強化を要請された遺産)
4つの物件に監視の強化を要請
第32回世界遺産委員会は、既存の4つの登録物件に対し〈監視強化〉を要請しました。この措置は、すでに7つの物件で実施されています。
2007年の世界遺産委員会で決定された監視方法の新システム導入に伴い、通年にわたり、何らかの危機に直面している遺産にこの措置がなされることになります。このシステムの目的は、その場に専門家を派遣することが想定されていますが、その遺産の現状を委員会に逐一知らせること、そして対策を指南することにあります。今回新たに監視強化が要請された遺産は、以下の4物件です。
■ボルドー、月の港 (フランス)
2007年に世界遺産に登録されたばかりの物件ですが、委員会はボルドーに対し、川に架ける計画中の新しい橋が景観にどのような影響を与えるか、レポートを提出するよう要請しました。同時に委員会は、2007年末にペルテュイス橋が取り壊されたことを遺憾に思うと表明しました。
英 語 名:Bordeaux, Port of the Moon
仏 語 名:Bordeaux, Port de la Lune
登録基準:(ii)(iv)
■伝説の都市トンブクトゥ (マリ)
1988年に世界遺産に登録されたトンブクトゥは、遺産内にある3つのモスクの保全状態が改善されたと判断され、2005年には危機遺産リストから削除されたました。しかし委員会は、モスク近くの新しい建造物、特にアーメド・ババ文化センターについて憂慮しています。委員会は遺産への影響を分析するよう要請しました。
英 語 名:Timbuktu
仏 語 名:Tombouctou
登録基準:(ii)(iv)(v)
■マチュ・ピチュ (ペルー)
1983年に複合遺産として登録されたマチュ・ピチュに、委員会は遺産管理について深い懸念を示すとともに、森林伐採、地すべりの危険性、無秩序な都市開発、および保護区への不法な侵入を、緊急問題として指摘しています。
英 語 名:Historic Sanctuary of Machu Picchu
仏 語 名:Sanctuaire historique de Machu Picchu
登録基準:(i)(iii)(vii)(ix)
■文化交差路サマルカンド (ウズベキスタン)
この遺産は2001年に世界遺産に登録されましたが、法規に即した適切な枠組みがないまま、新しい道路や建造物が伝統的な都市構造に影響を及ぼすという危機に直面しています。委員会は改善が進んでいることは認めはしたものの、現在進行している都市開発が、この歴史的都市が持つ世界遺産としての価値を損なうことのないようにするために、ウズベキスタン政府に対し、監視の強化を要請しました。
英 語 名:Samarkand – Crossroads of Cultures
仏 語 名:Samarkand – carrefour de cultures
登録基準:(i)(ii)(iv)
以下の7物件は2007年から監視が引き続き行われているもので、いずれも危機遺産として記載されています。(コンゴ民主共和国の全5物件が含まれています)
■ドレスデン・エルベ渓谷 (ドイツ / 2004年登録)
■エルサレムの旧市街とその城壁 (ヨルダン申請 / 1981年登録)
■ヴィルンガ国立公園 (コンゴ民主共和国 / 1979年登録)
■カフジ=ビエガ国立公園 (コンゴ民主共和国 / 1980年登録)
■ガランバ国立公園 (コンゴ民主共和国 / 1980年登録)
■サロンガ国立公園 (コンゴ民主共和国 / 1984年登録)
■オカピ野生動物保護区 (コンゴ民主共和国 / 1996年登録)
※この文章は、UNESCOホームページに掲載されているニュースをもとに執筆・編集しています。https://whc.unesco.org/en/news/454(英語) https://whc.unesco.org/fr/actualites/454(仏語)
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