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第33回世界遺産委員会ニュース⑥(危機遺産に関する情報)

2009年 世界遺産委員会ニュース⑥

新たに3件の危機遺産が誕生

第33回世界遺産委員会では、3物件が新たに危機遺産リストに追加され、1件が危機遺産リストからはずされました。世界遺産登録自体が抹消された「ドレスデン・エルベ渓谷」も危機遺産リストの中から抜けたため、現在の危機遺産リストに記載されているのは31物件です。

 
■ 危機遺産を脱した遺産

● シルヴァンシャー宮殿と乙女の塔のある城壁都市バクー(アゼルバイジャン)
シルヴァンシャー宮殿と乙女の塔にある城壁都市バクーは、2000年11月に起きた大地震により被害を負い、2003年に危機遺産リストに追加されていました。
都市開発や保全計画の不備、遅々として進まぬ復旧作業が問題視されてきましたが、管理計画が改善されたことにより、2000年に世界遺産登録された時の「顕著な普遍的価値」が確保されるとして、危機遺産リストからの削除が決定しました。

■ 危機遺産リストに追加された遺産

● ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区(ベリーズ)
ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区は、沖環礁や数百の砂洲、マングローヴの森林、沿岸の浅瀬、入り江をもつ、北半球最大のバリア・リーフとして1996年に世界遺産登録されました。
世界遺産委員会は、遺産内での厳しい開発抑制を求める一方で、2008年に終了していたマングローヴ伐採の一時停止措置の復活を要求していましたが、それが実行されなかったため、主にマングローヴの伐採と遺産地域の過度の開発を理由として、危機遺産リストへの追加を決定しました。

 
● ロス・カティオス国立公園(コロンビア)
ロス・カティオス国立公園は、遺産範囲内とその周辺の違法な森林伐採に脅かされており、コロンビア政府の依頼で、遺産保護の国際的サポートを得るために危機遺産リストに登録されました。
1994年に顕著な生物多様性が認められて世界遺産登録されましたが、森林伐採のほかにも、違法な狩猟や密漁にも悩まされています。

 
● ムツヘタの歴史地区(グルジア)
ムツヘタの歴史地区は、重要建造物群の保存に問題があるとして危機遺産登録されました。
世界遺産委員会はグルジアに対し、遺産の統一管理計画の採用と、石造建築物やフレスコ画の深刻な劣化に関する問題に取り組むことを求めています。
その他にも、教会付近の土地の管理や、世界遺産登録された建造物内で実行に移された工事のために真正性が損なわれるなどの問題が取り沙汰されています。

※この文章は、UNESCOホームページに掲載されているニュースをもとに執筆・編集しています。

https://whc.unesco.org/en/newproperties/(英語) https://whc.unesco.org/fr/nouveauxbiens/(仏語)

※UNESCOのニュースだけでなく、物件を保有する国や地方自治体など、現地の組織が提供する情報を解説文中に加えているものもあります。

※新規登録物件および範囲拡張物件の遺産名はまだ正式決定のものではなく、その日本語訳も世界遺産アカデミーが独自に付けたものであり、今後変更の場合があります。

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