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■ 研究員ブログ151 ■ 奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島、再び世界遺産候補へ

今日、閣議後の菅官房長官の記者会見で、
2020年の世界遺産委員会に向けて日本からは
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」を
推薦することが発表されました。

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は、
2019年の世界遺産登録を目指していましたが、
今年の5月にIUCNから「登録延期」勧告が出されたため、
推薦書を取り下げ、最短での再提出を目指していました。

沖縄島北部の「やんばる」地域にあった、米軍北部訓練場の返還地を
「やんばる国立公園」に編入する手続きも完了しており、
着々と準備が進められていたことがわかります。

一度提出された推薦書の修正版であり
ある程度の完成度が見込まれることや、
自然遺産の審議が優先されることなどから、
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」
の推薦は理解できるところです。

一方で、この遺産の推薦は、
いつもどこかすっきりしない感じがするのも確かです。

普通、日本から推薦される遺産は、
文化遺産の場合は7月頃に開催される文化審議会で候補を絞り、
9月頃に開催される世界遺産条約関係省庁連絡会議で決定し、
9月末までに仮の推薦書が提出されます。
正式な推薦書は2月1日までに提出されるのですが、
その前に、日本から推薦する遺産とその推薦書が
閣議了解され、最終決定となります。

今年も7月に文化審議会が開かれ、
「北海道・北東北の縄文遺跡群」が候補に選ばれていました。
しかし、その後も世界遺産条約関係省庁連絡会議は開催されず、
11月に入った今日、突然、
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の推薦が
閣議後に発表されました。

前回推薦されたときも、
正式な推薦書提出直前の1月19日に、
世界遺産条約関係省庁連絡会議が開催され、
そこで「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の推薦が
明らかとなりました。

今日、世界遺産条約関係省庁連絡会議が開催されたのかわかりませんが、
従来のルールに沿っていないことは明らかです。

仮の推薦書の提出は義務ではないはずなのでよいですが、
国内での推薦のルールが曖昧なのは、
関係する地元の方々や関係機関の方々にとって
あまり納得できるものではない気がします。

そして、そうしたルールが曖昧だったり変更されたりするのが、
『明治日本の産業革命遺産』と「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」という、
いつも内閣官房がらみというのも気になります。

期待していながら、来年以降の推薦にまわることになった
「北海道・北東北の縄文遺跡群」の関係者だけでなく、
世界遺産に関心のあるすべての人が、なるほど! と思える説明が
あるといいなと僕は思っています。

2000年代頃から特に、
世界遺産が各国の政治のカードのひとつに
なってきていることが指摘されますが、
国内向けにもその意味合いがより強くなってきているのかもしれません。
国が関わる「条約」として生まれた世界遺産の宿命なのでしょうが。

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