■ 研究員ブログ144 ■ 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産決定はいつ!? 2018年世界遺産委員会
今年の世界遺産委員会のスケジュールなどが公表されましたね。
いよいよ近づいてきてるんだなと実感します。
僕はその前に始まるFIFAサッカーワールドカップに気が散っていますが。
今年の世界遺産委員会は、バーレーン王国のマナーマで
6月24日(日)から7月4日(水)まで開催されます。
スケジュールによると、新規登録に関する審議は、
6月29日15時半から7月2日12時15分までが予定されています。
新規登録として審議予定の遺産数が、今のところ31件。
文化遺産が22件、自然遺産が6件、複合遺産が3件です。
ここには、日本から推薦されている
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」と
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」も含まれています。
審議順を見ると、文化遺産、複合遺産、自然遺産の順番で、
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は9番目に、
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は29番目に予定されています。
◆ 「潜伏キリシタン関連遺産」の審議は土曜夕方?
ここで、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の審議がいつになるか
予想してみたいと思います。
お遊びだと思ってくださいね。
6月29日15時半から7月2日12時15分の
実際の審議時間は、1,005分です。
これを審議される31件で割ると、1遺産当たり約32.4分。
単純に、9番目の遺産ということで計算すると、
2日目の30日午前中11時49分頃から審議が始まり、
12時20分頃に登録が決定する、ということになります。
日本との時差が6時間あるので、日本時間では18時20分頃。
しかし、実際はそう簡単ではありません。
「潜伏キリシタン」以前の8件の遺産中、
登録勧告は1件のみで、不登録が3件、情報照会が1件、登録延期が1件、
そして2件が不明(不明の遺産については後述します)です。
不登録勧告の遺産が取り下げられずに審議されると仮定すると、
不登録勧告の遺産については審議が長くなることがあるので、
不登録勧告の遺産の審議時間を1.5倍の48分、
逆に登録勧告の遺産を半分の16分、
情報照会、登録延期、不明についてはそのまま32分として計算してみます。
そうすると、「潜伏キリシタン」の審議が始まるのが、
30日の12時18分頃、決定が12時34分頃になります。
日本時間で、18時34分頃。
あんまり変わらなかったですね。
仮に不登録勧告の遺産3件が全て推薦書取り下げになった場合は、
審議開始が29日17時24分頃、決定が17時40分頃。
日本時間だと、29日の23時40分頃になります。
最速で日本時間29日(金)の深夜、
もしくは30日(土)の16時以降で、
遅くても19時頃までには登録が決まりそうな気がします。
実際は、紛糾して審議が延長したり、審議順の変更があったり、
いろいろなことがあるので予想はつかないのですが。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は31件中29番目なので、
日本時間で7月2日(月)の16時以降といったところでしょうか。
◆ 勧告の傾向
新規登録の審議が予定されている31件のうち、
登録勧告が出されているのが10件、
情報照会が5件、登録延期が5件、不登録が5件、
不明が5件、延期が1件です。
登録勧告の割合は、例年通りの気がしますが、
不登録勧告の遺産が今のところ多い気がします。
ここから推薦書の取り下げなどがあるのかもしれませんが。
不明というのは、以前の世界遺産委員会で、
「情報照会決議」や「登録延期決議」を受けた遺産です。
その遺産に関する書類がまだ公開されていないので、
どのような勧告が今回出されているのかまだわかりません。
そして「延期」というのは、
フランスとベルギーが推薦している
「第一次世界大戦(西部戦線)における葬送と記念碑」ですが、
これについては、「負の記憶」と結び付く遺産で、
現在の紛争や、他の「負の記憶」とどのように関係してくるのか
しっかりと検討されるべき、ということで「延期」になっています。
これは、遺産価値が不十分であるという「登録延期」勧告とは異なるものです。
審議される遺産リストを見ていると、
なんだか気持ちが盛り上がってきますね。
世界遺産委員会まで、あと少しです。
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