◆世界遺産クラブ通信◆「日光の社寺修復現場見学会」総集編
【日光の社寺修復現場見学会】
参加者同士の親睦も深まる
WHC初めてのフィールド・トリップでもあった今回の見学会では、参加者間の交流も大切な趣旨の一つでした。例会やセミナー等の集まりにおいては決して十分とはいえなかった会員同士の親睦が、見学を通して一気に深まったことも大きな収穫といえるでしょう。こうした観点からも、共通の好奇心と向学心を抱く会員たちがともに行動し、学び、感動と達成感を分かち合あえるプロジェクトを、今後も定期的に企画・実施していきたいと思います。
今後の活動について
1999年、世界遺産に登録された「日光東照宮と二荒山神社、輪王寺の2社1寺から成る『日光の社寺』およびそれらを取り巻く文化的景観」。今回はこれらの建物や景色を鑑賞・見学するのではなく、保存・修理を学ぶことを主眼としました。無事終了した今、WHCならではの企画であったと(ちょっとばかり)自負する一方、日本が世界に誇る遺産を現場で支える技と情熱を再認識させられ、保存の意義と修復作業継続の重要性について深く考えさせられてもいます。この見学会で得たものを、WHCの活動にどのように反映していくか― 志水会員と越智会員から寄せられた、今後への改善点や活動課題の指針となるコメントを紹介し、本ブログ全5編の総括といたします。
<越智会員>:
●研修実施に関しては全員参加型を目指し、より多くの会員が積極的に参加してもらえるようなスタイルで、継続させたい。そのためには会員の時間的な制約も考慮し、コア・スケジュールを中心に参加できるような工夫も必要かもしれない。●今回の見学会では、レポートの分担など、参加者全員が運営に協力していただいたが、こうした参加者全員協力型の実施の意義は大きいと思う●見学実施前の事前自主勉強会は、とても有益であった。●会員の興味の違いも尊重しながら、世界遺産の現場になるべく近いところで、その素晴らしさに触れ、意識・知識を高められるような企画を、今後も実現していきたい。
<志水会員>:
●文化遺産の保全については、私たち素人がお手伝いできる部分は極めて少ない。しかし、今回のように専門家から直接説明を受け、現場を見る機会を持つことは、私たち自身の理解を深め知識を増すだけではなく、他の人々に伝えることにより、世界遺産の普及に役立ち、WHCのアーカイブとしての財産になっていく。●今回のような課外活動は、会員の相互交流にはとても有益なので、年に一度は実施したい。また、実施日については、できるだけ多くの人が参加できるよう週末とか連休を利用するなどの工夫が必要である。訪問場所も、中部地方や関西方面の方も参加できる場所を候補地にしたらどうか。
WHCの活動も2年目に突入しました。会員の方々の熱意と行動力、そして世界遺産アカデミーのご協力により、緩やかながらも着実に歩みを進めることができました。本年度も、その歩みを止めることなく、様々な活動を企画・実現させていきたいと思います。今後のWHCに期待すること、活動アイディア、励まし、苦言など、会員の方々はもちろん、世界遺産を愛するすべての方々からのご意見をお聞かせいただけたら幸いです。
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最後に、私たちのお願いを聞き入れて下さった日光市生涯学習課の鈴木係長、見学を承諾して下さった日光社寺文化財保存会・工事主任の浅尾さん、当日現場を丁寧に案内して下さった同保存会・漆塗専門技術主任の佐藤さん、そして、今回のプロジェクト実行を後押ししていただいた世界遺産アカデミーの小原事務局長、細田研究員、本当にありがとうございました。この場を借りて、世界遺産クラブ会員一同、あらためて御礼申し上げます。
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